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鉄道の旅

「ご乗車の方はお急ぎを!」

多くの人はフロリダと言えばニュー・スペインと連想し、週末旅行でニューヨークというのも珍しいことではありませんが、アメリカにあるのは常にさんさんと輝く太陽とバーゲン・ショッピングだけではありません。旅行中の移動には大半の人が車か飛行機を使うことでしょうが、アメリカ滞在予定が数週間以上にわたるならば、誰もが体験できるという意味で最後の豪華移動手段とでも言うべき鉄道の利用も検討してみてはいかがでしょう。学生や62歳以上の場合は割引料金もあり、また外国人旅行者用各種パスのおトク度は世界でも類を見ないほどです。

走るホテル

アムトラックの路線はほとんどの州を網羅しており、その500を数える駅の中にはロッキー山脈やグランドキャニオンといった観光の要所も含まれています。銀色に輝く2階建ての座席車、完備されている冷暖房、1930年代のハリウッド映画に出てくるような制服姿の乗務員、と列車自体はまるで走るホテル。リクライニング可能な座席は分厚く柔らかい上に快適なレッグレストも付いているので食後のひと眠りや夜の眠りもぐっすり眠れ、さらにはホテル代も節約できるのです。

一方、昔ながらの快適な寝台車も一人用の「ルーメット(roomette)」から子連れ家族向けがくつろげる広さまでさまざまなタイプがあります。寝台車の場合、食堂車での朝昼晩の食事とコーヒー・紅茶のサービス、毎朝の新聞も料金に含まれています。至れり尽せりの素晴らしい気分が味わえる旅行になることでしょう。

© spuiphoto
米国政府出資のアムトラックは、アメリカ全土を走り、46州、500都市間のネットワークがある旅客列車を運営しています。

くつろぎの時

列車内は概ねくつろいだ雰囲気で、地元の人と出会い新しい友人をつくるにはうってつけです。アメリカ人はおしゃべり好きなので、身の上話を微に入り細にわたって聞かせてくれることもあるでしょう。列車の速度は外を眺めるのにも最適、まるで風景のなかを散策しているような気分になる理想的な速さです。数々の小さな町を通り、大きな街を過ぎるうちにアメリカの本当の大きさ、多様さにきっと気付かされるとともに、マクドナルドやコカコーラ以前のアメリカの様子も推し量ることができそうです。

車内にはのびのびと身体を伸ばせたり、歩き回ったり出来るスペースもあります。そのうえ雲の上を高速で移動するのとは違って、大きな窓の外に広がるアメリカ全土をくまなく眺めることもできるのです。ボストンからニューヨークを経由してワシントンまでの北東部には特急アセラ(Acela)号が走っており、またシカゴやロサンゼルスといった大都市周辺でもかなりの本数の列車が運行されていますが、長距離路線などは一日一本しかない場合もあります。夏の間やその他休暇シーズンの乗車券は、早めに予約しておいた方がよいでしょう。乗車券の予約はフリーダイヤルでできます。発券はどこの駅でもできるほか、自宅に郵送してもらうことも可能です。

持ち物

荷物、特に車内持ち込み分はできるだけ小さくまとめておきましょう。あるときっと重宝なのは、双眼鏡、良質の本、トランプなどのカード類、地図(鉄道線路が記載されていると尚良し)、薄手のブランケット、枕か大判のピローケース、もし眠りが浅いなら耳栓やアイマスク、洗面道具、小型の懐中電灯、サングラス、安価なアラームつきのデジタル時計、救急セット、市販のミネラルウォーター(車内でも水は飲めますが、味のことを考えると水は持ち込んでおいた方が賢明です)、果物やナッツなどの軽食など。衣服、特に靴は着心地・履き心地の良いものを選びましょう。列車内で現金が必要になっても、トラベラーズチェックを換金する以外には現金を得る方法がありませんので、あらかじめ旅行中に必要な現金はしっかり手に入れておきましょう。

手頃な料金

まず、アムトラック全線が乗り放題になるナショナル・レイルパス(National Rail Pass)は285ドル前後。この他にも、15日から30日間東部や西部など特定地域限定で乗り放題と言うパスなら175ドル前後から用意されています。さらには無料になる可能性も(後述のUSA by Railをご参照ください) !鉄道旅行は何度も途中下車できる上に好きなだけそこに滞在できるので、もっとも短時間でより多くのアメリカを見るように計画を立てることもできるでしょう。発車ベルが鳴り響き、車掌の「ご乗車の方はお急ぎください!」の声を聞けば、鉄道旅行がなぜこれほどまでに楽しく魅力的であるか、きっと理解できるはずです。

さらなる情報

より詳しい情報や旅行上のヒントなどは、アムトラックのナショナル・レイルパス二人分が当たる抽選も行っている www.usa-by-rail.comに掲載されています。氏によるガイドブック「USA by Rail」は完全路線案内やカナダの鉄道情報ほか便利な旅の情報満載で、最新版は必要不可欠です。USA by Rail(Bradt社, ISBN 1 84162 255 2)は書店やwww.bradtguides.com.

原作筆者: John Pitt (www.USA-by-Rail.com)
訳: Etsuko Tada
上部写真撮影: © J.C. Leacock
写真詳細: 深く、岩の多い川の谷を通って観光列車が進みます。